コロッケ
Apr
2020
13

いよいよ、暇な毎日。

部屋の片付けでもすればいいのに気が向かない。

じっくり新聞読んだり、積んである本でも読んでみるかな。

娘が「軽く読めるよ」と言って貸してくれた阿川佐和子の「魔女のスープ =残るは食欲=」というだけあって食べものの話のエッセイ集。
その中の「肉屋の店先」を読んでいて、ふと昔を思い出した。

阿川佐和子のその話は、TBSの番組に毎日のように出ていたころよく食べた赤坂の一ツ木通りのとある肉屋のコロッケのこと。とても美味しかったそうだ。最近、それを思い出しそのお店を探したがすでに店はなくガッカリしたという話。

その話の中で袋に入った熱々のコロッケを道端ですぐにかぶりつくという仕草!
あ~そうそう!私も食べた!!コロッケ1枚5円だった!そして白い上がギザギザのちょうどコロッケが1枚入る大きさの袋に肉屋のおばさんが入れてくれて、それを持って友だちとうちの前の車庫の脇にあるコンクリートの出っ張ったところ(説明多すぎ!!)に腰掛けて、食べたっけ!
一緒に食べた「仙北金子ちゃん」。
なんでだろう?特に仲が良かったわけじゃないのに名前がすらっと出てきた!
そして一緒にコロッケを食べた記憶だけがある・・・。

つい昨日のことは思い出せなくても、60年近くも前の映像とコロッケの味まで思い出せる・・・って私の脳はどうなっているのかな?

そしてこの「肉屋の店先」のエッセイの締めくくりに、佐和子さんの家の近くの鶏肉専門店の話が。
白い上っ張りを着たおじいさんとおばあさんが毎日店頭で鶏を焼いているのだそうだ。その焼き鳥を買って帰る日常を描いていましたが
「・・・・毎日毎晩、黙々と淡々と、ささやかな商売を続けるおじいさんとおばあさん。必要以上の愛想はなく、ただひたすら焼き続け、客が来るのを待つ。これからもずっと焼き続けてくださいね。帰途につきつつ私は心のなかで祈った。」

こんな日常の風景が、今見られなくなってしまっているという現実。
誰が予想したでしょうか。