Kさんとのおしゃべり
Mar
2021
26

昨日は出かける予定の30分前に支度がすみました。
時間まで新聞でも読もうかな。と思っていたところスマホに着信がありました。
305時代のお客様のKさん。
Kさんは305営業中によく、お惣菜を作って差し入れしてくださいました。
それがほんとに美味しい!!
一番最初にいただいたのは「花豆の煮物」でした。
よく母も煮てくれました。
あんまり美味しいのでレシピを聞いて、以来私はそのレシピで煮ています。

《花豆の甘煮》
花豆は一晩たっぷりの水に浸けて、3回茹でこぼす。
そしてたっぷりの水を新たに加えて30〜40分煮て冷ます。
そのまま冷めてからまた30〜40分煮る。
これを3〜4回繰り返し、親指と小指でつぶれるくらいになったら豆の半分くらいの量の砂糖を何回かに分けて加え、とろ火でじっくり煮る。

そう2〜3日がかりの仕事です。
圧力鍋で炊けば即、やわらかくなるのでしょうがね。
このじっくりの工程があの大きな豆にじっくり味がしみるのでしょうね。

・・・余談でしたm(_ _)m

そのKさん、実は2019年のお正月にご自宅でくも膜下出血(?)で倒れ、開頭手術まで受けたそうです。
その経緯をその年の夏頃だったか、ご本人からお電話をいただき知りました!
それはそれは詳しく。
普段はお一人暮らしの方だったのですが、お正月にご家族やご親戚の方々が集まり、きっと忙しく立ち振るまれたことでしょう。
その翌朝のことだったようです。
皆さん帰られたのですが、息子さんがひとり翌日から仕事もあるのでここから仕事に行くからと、泊まっていらしたそうです。
でもそんなことはすっかり忘れていて、自分で様子がおかしいと感じて、すぐ救急車を手配したとか。
それで玄関までなんとか這って行き、ドアの鍵を開け・・・
そこからの記憶はなく、そこで倒れていたそうです。
救急隊員が来たときに息子さんが気づいて・・
という顛末をご本人の口から聞いたときは本当にびっくり!!
だって、電話の声は全く淀みなくいつものKさんでしたから。

結局、その後無事手術も終え、その時の電話ではリハビリできる施設に転院するとか、したとか・・・という状況でした。
電話での様子は全く普通でしたので、すぐに元の生活に戻れるのでは・・と思っていました。
でもご家族にしたらまた、一人暮らしの生活に戻すことは不安があるということで、昨日、お電話いただいた時もまだ同じ施設にいらっしゃるとのことでした。
そちらでの様子を伺いましたら、個室での生活で、3度の食事のときに食堂で皆さんと顔を合わせるだけ。
その時に、お声を掛けてもいわゆる認知症の方が多くて、あまり会話にならないのだとか。
そして、今のこのコロナ禍。
家族との面会も禁止。
外出もできないそうです。
「せめて、階段の昇り降りぐらいして運動しないと・・・」と、話しましたらそれも
「落ちて怪我でもしたら大変」と禁止とのことです。

ただ、看護師さんも介護士さんも皆、忙しそうで、食事のあとの食器洗いもままならず、山になっているそうなので見かねて
「私、こんなことならお手伝いできますよ」と申し出たら
「助かります」と言ってくれたので、今は3度の食事の後片付けのお手伝いをされているとか。
さすが働き者のKさんらしいな、と思いました!

お話を伺いながら、いつもマメにお料理を作って、御近所さんにお裾分けして、いい関係を作られていたKさん。コロナがなかったら、もっとご家族はもちろん、お知り合いの方との面会もできてたくさんの刺激をもらって、リハビリも捗ることでしょうに・・・と思わずにいられませんでした。

そんな話をしながら、出かける時間も迫ってきて・・・
「Kさん!ごめんなさい・・私、これから出かけなくちゃいけないので。」と伝えましたら
「あら!ごめんなさい!!私ったら自分のことばかり話して、お忙しいのに・・」と恐縮されてしまって。
「いえいえ、またいつでもお電話くださいね」と言って電話を切ったのですが、なんとも後味悪くて。
Kさんはご家族とでさえ会うこともままならず、外出もできず、きっと毎日悶々としていらっしゃるのでしょうし、それを私は
「施設内で身動きもできず、なんのためのリハビリなのか」と疑問を抱きつつ、気の毒に思いながら、一方で
「これから出かけるので・・」と自由気ままな私を見せつけてしまったと・・・。


せめてこの満開の桜の下を歩かせてあげたいです!